2019年8月号 「味覚」について
近年、味覚障害がある人が増えたと言われています。
味覚が障害されると、ただ味が分からないだけでなく、食べることも、飲み込むことも不快に感じ、また腐った食べ物や毒をもつ食べ物の味がわからないということは、生命にとって大変危険です。

味覚は、「苦味」「酸味」「甘味」「塩味」「うま味」の5つの基本味からなります。
味覚の役割
- 食べ物の味を感じ、食欲を刺激する。
- 食べ物の味で食べられるものかを判断し、危険なものを食べないようにする。
- 唾液や消化液の分泌を促し、消化を促進する。
- 生体に必要な成分を含んだ食べ物を選択して摂取することを助ける。
味覚障害

味覚障害には、味覚を感じない味覚消失、味覚が分かりにくい味覚減退、何を食べても嫌な味がする自発性異常味覚等があります。また、自覚が無い人も少なくありません。
味覚障害のおもな原因
- 体内の亜鉛不足
- 薬の副作用
- 心因性(うつ・ストレス)によるもの
- 風邪
- 舌の表面の異常
- 味覚障害を招く全身性疾患
高齢になってかかる全身性疾患や、疾患に伴う薬剤の使用によって味覚障害が引き起こされるため、年齢が高くなるほど増える傾向にあります。
味覚障害が及ぼす影響
- 食欲がわかないことで食事量が減少し、低栄養になるリスクが高くなります。高齢者の低栄養は骨粗鬆症や骨折、褥瘡のリスクが高くなり、また、介護が必要な状態になりかねません。
- 味が分からないため、より濃い味を好む傾向にあります。その結果、塩分や糖分を摂り過ぎてしまい、高血圧症、動脈硬化症、糖尿病などの生活習慣病に繋がる恐れがあります。
注意
以前に比べ、味覚が変わったり感じにくくなったら早めに受診して治療を受けましょう。
本文 参考資料:公益社団法人 日本糖尿病協会 月刊糖尿病ライフさかえ2018年12月号、 公益社団法人 日本口腔外科学会 ホームページ 口腔外科相談室
昆布の「うま味」を用いた唾液分泌改善法
*東北大学病院 口腔診断科 笹野 高嗣 教授は味覚障害と唾液分泌低下が密接に関係しているとし、「うま味」を用いた唾液分泌改善方法を提唱されていますのでご紹介します*
- 水…………500ml
- だし昆布…30g
- 細かく切り込みを入れた昆布30gを、水500mlに一晩浸し昆布だしを作る。
- 口の渇きを感じた時などに、1日10回程度3倍ほどに薄めた昆布だしを30秒ほど口に含んで飲むだけです。

この方法によって、唾液の分泌がよくなり、味覚が改善することがあります。
なお、甲状腺の病気のある方は昆布だしを飲むことは避け、口をすすぐのみとします。
『昆布の「うま味」を用いた唾液分泌改善法』 参考資料 公益社団法人 日本糖尿病協会 月刊糖尿病ライフさかえ2018年12月号