Vision ビジョンISEIKAI RENAISSENCE

ホロニクスグループ年次大会 経営方針発表[The New Realities / 新しい現実]

The New Realities / 新しい現実

Create the Future

◆令和維新「Great Reset」

散切り頭を叩いてみればIT開化の音がする。
戦後80年が経過、戦後システムと戦後文化の金属疲労が極に達している。

◆コペルニクス的発想転換

天動説から地動説へ、メタ認知・自己客観視・離見の見
生き残るのは強いものでも賢いものでもない。環境に適応したものだけが生き残る。

◆事業モデルの大転換

中規模病院のチェーン方式から高度急性期病院を中核とする城下町方式へ、医療法人医誠会は他所に先駆けて大胆な構造転換を行っています。
開設45年、前半20年は右肩上がり経済下、医療は出来高払い制度、経験則中心の時代でした。後半20年は右肩下がり経済下、医 療は定額払い制度(逓減性)、高度に専門分化した時代、しかも成熟化した市場の中で病院経営の在り方を模索して来ました。

◆JCI認証の取得

医誠会は、ドメスティックな戦いの場からグローバルな戦いの場へと、戦いの場をアップグレードします。
世界の中で最も厳しい基準を持つ医療施設評価機構である「JCI認証」を昨年の12月に取得しました。患者の安全や医療の質向上が世界基準で組織的かつ継続的に取り組んでいることが評価されました。

「成功体験の罠」/「医療の敗北」

◆医療人が営々と築き上げて来た戦後医療供給体制が一瞬にして崩れ去る。私にはそんな予感がします。

19年前に夕張市が財政破綻をしました。その時に171床の夕張市民病院が閉鎖し、医療崩壊が起きると誰もが予測しました。ところが、医療崩壊は起こりませんでした。死亡率は変わらず、救急車の出動回数は減少、緊急時にはドクターヘリと救急車で札幌 まで搬送(→広域医療の実現)、訪問診療・訪問介護が増えて老衰(自然死)が増加、老衰を受け入れるという文化(死生観)が根付きま した。皮肉にも、社会効率の良い理想の医療環境が出現したのです。「医療の敗北」は明らかです。
2040年には病床数が半減します。中密度中期型の病院、なんちゃって急性期病院(ゾンビ病院)の大量絶滅は避けられない。

「Paradigm Shift」

◆新しい事業モデルの創造

事業ドメインの再設定と医療を中核とする事業複合体(医療事業生態系ホロニクス)の創造
マーケットが縮小する中で、如何にして業容拡大を続ける事業モデルを構築するか?
寿命が尽きたビジネスモデルに固執しても時間の無駄です。答えは医誠会が進める病院改革の延長線上にある。

◆患者中心のバリューシステム(価値連鎖)の構築

病院事業における各事業活動を患者満足の為の一連の流れとして捉える。診療サポート機能・病院事業サポート機能を充実強化することで医療主体が輝き、医療主体が輝くことで診療サポート機能・病院事業サポート機能が生きてくるという関係性を構築する。垂直統合型事業モデルである医療を中核とする事業複合体「医療事業生態系ホロニクス」(Medical Business Ecosystem)の構築が必須条件となる。

◆統治機構改革

階層型組織と自立型組織を最適化したハイブリット型組織(ホラクラシーMIX型組織)の構築
医誠会は階層型組織と自立型組織を最適化したハイブリッド型組織を目指しています。専門分散した病院では、旧来のようなヒ エラルキー型組織より、ホラクラシーMIX型組織の方が時代適合性が高い。

◆経営手法改革

データドリブン経営
属人思考の廃止、経験と勘による主観的判断からデータとアルゴリズムに基づく客観性の高い意思決定を医療の世界で行い、性 善説とか性悪説を超越したデジタル評価・デジタル統治を行う必要があります。また、社員一人ひとりのスキルや能力・経験を一 元管理し、そのデータを人材戦略に生かすべくタレントマネジメントシステムを導入しています。

◆組織文化改革

組織文化としては「透明性が高くルールを重んじる組織、風通しの良いフラットな組織」を目指しています。高度に制御された組織空間、自由度と規律が高水準で組み合わさった組織の構築を急いでいます。

⑴法令遵守
社会規範及び法人ルールの遵守、ルールとマナーとペナルティで臨む。

⑵ハラスメントの根絶
パワハラ・セクハラの根絶、パワハラ・セクハラは犯罪です。

⑶アサーション文化の浸透
権威主義的体質の根絶
患者にとって良いと思うこと、安全に関わること、気になったことは相手に伝える。
〈部下〉「アサーションしてもいいですか?」→〈上司〉「アサーションありがとう」
自分の意見を押し付けず、逆に意見を言うことを我慢せず、話す側、聞く側、それぞれがお互いを尊重して、素直に自己表現を行 う行為のコミュニケーションスキルです。

⑷アンガーマネジメントの習得
〈6秒ルール〉とは、腹立たしい気持ちが強くなった時に、6秒間だけ、その気持ちを表に出さないように我慢すること。

◆管理技術の進化と深化

高度に専門分化した組織では分業と協業、専門特化と職種間連携が欠かせない。

⑴技術管理
標準技術の習得、専門技術の修練、(シミュレーション教育による技術習得期間の短縮)、そして先進技術への挑戦
医師は優れた医療専門技術者として周囲からの尊敬と信頼を獲得する努力が必要となる。

⑵運用管理
運用は自動化・業務は標準化、タスクシフト・タスクシェア、自動化・IT化・AI化の促進

⑶運営管理
運営はバックオフィスで一元管理、(合理化・効率化の促進)

⑷経営管理
経営管理は次元の違う世界です。主観を排した合理性、高度な客観的認知能力が必要です。学際的・統合科学的知見なくして病院経営はできません。MBAの取得と経営本部での経験知識が必須条件です。サブスペシャリティレベルでの経験知識で病院経営ができた時代は終わりました。

「聖域なき病院改革」
( 構造改革・業務改革・土壌改良)

◆医誠会の挑戦

最も組織化に馴染まない病院という組織を、如何にして近代的な組織に脱皮させるか?
アナログ文化の人治組織からデジタル文化の法治組織へ、統治機構改革を始め、組織構造を大転換しなければならない。

◆機能不全と適応不全の解消

現状はエントロピー増大の法則に従って進行するゲシュタルト崩壊に陥っています。病院は機能不全、職員は適応不全に陥っています。もはや、病院には「自浄能力」も「解決能力」も期待できません。見当識障害、図鑑病、化石人間が散見されます。一刻も早く 意識変革と行動変容、体質転換をしなければなりません。

◆問題解決革命(ソリューション・レボリューション)

誰が解決するかは二義的な問題です。
発生時点管理、発生時点解決、タスクフォース解決(専門職解決)
上司解決から専門職解決へ、問題解決は「医誠会版チャットGPT」で発生時点解決する。情報の伝達効率(距離による分断、意図的操作、ノイズの発生)の低下を防ぎ、解決精度と解決スピードの向上を図る。

◆業務変革(プロセス・イノベーション)

⑴医療安全の確保
標準医療こそ最善最適の医療です。
ヒューマンエラーをシステムでカバーする。医療安全の確保は医療提供主体である病院の役割でもあります。
訴訟社会の到来です。権利意識の高まりと共に医療訴訟も増加傾向にあります。高度に専門分化した病院での医療行為は病院組織を通して提供されており、法的には、医師は「履行補助者」と解されている。

⑵働き方改革の実現
業務を標準化し、複数主治医制を導入して交代可能なシステムを構築、位置情報システム、勤怠管理システムを活用して効率的 な労働環境を作る。

⑶生産性の向上
運用は自動化し、運営はバックオフィスで一元管理する。
管制センター方式による人とモノの効率的・効果的管理を目指す。

◆脱聖職者宣言

契約概念の浸透とプロ意識の醸成
医療行為は法人と患者との「診療契約」で成立する。
経営とは感情を排した合理性の追求にある。感情労働に携わる人にとって、感情とは「効果的に管理される商品」としての価値を 持つ。もはや、精神論とか自己犠牲的精神だけでは続かない。
社会主観(時代精神)の推移、社会構造はゲマインシャフトからゲゼルシャフトへ
儒教文化、仏教文化、修身教育は廃れ、道徳・倫理教育は軽視され、自律的行為規範は極端に希薄化傾向にある。科学技術の進歩に より経験則から科学則へ、また、情報社会の到来により情報の独占、情報の偏在が解消され、無知による盲信という舞台もなくな りました。無条件の信頼とか無条件の尊敬はもはや期待できません。権威による統治は過去のものとなりました。
患者・利用者サイドの過剰な期待と過剰な欲求、ペイシェントハラスメント、医療訴訟も増加している。

◆関係性の再構築

患者との関係性、職員との関係性、社会との関係性、新しい環境下での関係性の再構築が必要です。
医療人にもコミュニケーション能力(対職員)、接遇能力(対患者)が強く求められる。
医療接遇五原則:⑴身だしなみ、⑵挨拶、⑶表情、⑷態度、⑸言葉遣い
メラビアンの法則によると、話す内容による影響は全体のたった7%で、残りの93%はノンバーバル(非言語)な要素である。